カヤックには幅広い楽しみ方がある。

川の急流を下る、波乗りする、釣りをする、スピードを競う、と言った乗り方はもちろん、カッティングシートで好きなブランドのロゴを貼ったり、車載方法を工夫したり・・・

そんな中で、ロッドホルダーやアイストラップ、フック、マウントパーツ等を追加で取り付けてカヤックをアップグレードする「艤装(ぎそう)」も、楽しみの一つ。

「それ、便利ですね?どうやって付けてるんですか?」

「これは元からあるスカッパーにホームセンターの塩ビ管を~」

「こっちは仕事で余った材料切って~」

「ほんでこれはスターポートを~」

フィールドで出会った人と、仲良くなるキッカケにも、なり得る。

せっかく休みなのに、風が強くて出せない・・・そんなときは、艤装に挑んでみるのも面白い。

安く、便利に、シンプルに。自分だけのカスタムを施した艇は愛着も沸き、楽しみも倍増する。

ただし、やり方を誤ると艇が台無しになったり、保証が無効になる場合もあるので、あくまでも自己責任で、試してほしい。


工場艤装、ディーラー艤装、ユーザー艤装

ZeroKayak13.5ft。様々な部品が工場艤装で取り付けられている。

例えば、ポリエチレンカヤックの工場で艤装を担当するスタッフは、何千艇、何万艇と「工場艤装」を経験するが、部品については設計の段階で、どこに、いくつ、どのように取り付けるかが全て決まっている。

カヤックを設計する際に、ロッドホルダーは何本つけようとか、ここにハンドルをつけようとか、少しずつ仕様が固まって、最終的に製品として世に送り出されるが、必ずしもその仕様が、お客さんを満足させられるとは限らない。

「ロッドホルダー2本じゃ全然足りないよ!」

「カートップのとき、ここらへんにハンドルがあったらやりやすいのになぁ」

「これどこに魚探つけろっちゅうねん!」

そんなときは、販売店に持ち込んで店のスタッフさんに「ディーラー艤装」を依頼するか、DIYで挑む「ユーザー艤装」によってカスタマイズするという選択肢が浮上する。

ディーラー艤装は費用と、預かりになった場合に時間が掛かるものの、お客さんの意向を上手く汲み取って、綺麗に仕上げてもらえるし、道具を自分で揃える必要もなく、失敗リスクも低いため、基本的には艤装はディーラーに依頼するべきである。Horizon Walkerの艤装・修理サービスはこちら

ユーザー艤装の場合、インパクトドライバーやドリル等の工具が無いとそもそも始まらないし、道具をどこかで調達したとしても、日頃からDIYに馴染みが無い人がいきなり挑戦すると失敗リスクもあり、改造の内容によっては、カヤックの保証が失効する場合もある。

この記事は、それでも自分でやりたい!という方、自分ではやらないけど何となく興味がある方向けなので、内容を実践する場合は自己責任でお願いしたい。


部品の固定方法① タッピングねじを使う

Aタッピング(1種)ねじ。部品にあった頭部形状のねじを選ぼう。

タッピングねじは、艤装の基本中の基本。工場艤装されたパーツも、タッピングねじで固定されていることが多い。

パーツを購入すると、たいていの場合はねじも一緒についてくる。そうでない場合はホームセンターやネットで買うしかないが、ステンレス製のねじでないと海水ですぐに錆びるので注意。

タッピングねじを使って、アイストラップをカヤックに取り付ける様子

取り付けはこの動画のように行う。木材にねじを打ち込むときなどは、材料の割れを防ぐために下穴をあけることがあるので、DIY経験者ほど陥りがちだが、ポリエチレンカヤックにタッピングねじを用いる場合は

下穴をあけてはいけない。

下穴を開けるとネジ山の食い込みが不十分になって強度が低下し、脱落する恐れがあるため、この動画のように位置を決めたらサクっと打ち込む。ねじはプラスチックにのめり込むので、この部分から浸水することは無く、コーキングも不要。

ただし締めすぎるとネジ山が母材を掘ってしまうので、電動工具を用いる場合は締めすぎに注意。インパクトドライバーを使うなら、動画のように、バリバリ!っとほんの少し打撃に入れば十分だが、心配なら仕上げは手回しのドライバーで締めよう。

欠点として、

・打ち込んだ反対側には、ねじの尖った先端が突出するので、脚を艇内に収めるシットインカヤックでは怪我の危険がある。

・部品を外してもねじ穴が残る。

等がある。

部品が不要になって外す場合、ねじ穴をそのままにしておくと艇の密閉性が損なわれるので

①使っていたねじを、打ちこんで、ふさぐ

②グルーガンでふさぐ

③販売店に補修してもらう

等の対応が必要となる。


部品の固定方法② リベットを使う

丸頭リベット

リベットは、タッピングねじが効かないほど薄い箇所や、FRP艇に適用すると良い。

ハンドリベッター。ステンレス、スチールリベットの打ち込みは不可能ではないが難しい。

下穴を開けるドリルと、リベットを打ち込むリベッター等の道具が必要となる等、タッピングねじよりはハードルが高い上に、一度取り付けたらドリル等で破壊しないと外せないので

タッピングねじで済むときに、あえてリベットを使う利点は無い。

また、ステンレス製の部品の取り付けにアルミリベットを用いると腐蝕が起きるので、ステンレス製の部品にはステンレスリベットを用いること。


部品の固定方法③ ボルト・ナットを使う

M6ボタンキャップ小ねじ(ボルト)と、フランジナット

ボルトナットで固定する方法は、タッピングねじが効かないほど薄い箇所や、FRP艇、特に強度が必要な部分に用いる。

ボルトナットの締結は、片手でボルト側、もう片手でナット側にスパナ等をセットして行うため、カヤックの内部のように、手が入らない部分への部品取り付けはできない。

(ハッチから手を入れることができることもある)

手が入らない箇所でもボルトナットで締結したい場合は

・ブラインドナット

・ウェルナット、ターンナット、インプルナット等の中空ナット

も選択肢に入れよう。


部品の固定方法④ 両面テープ、マジックテープ

RailBlazaのリブポート。粘着面を艇に対して、ペタっと固定する。
RailBlazaのリブポート

タッピングねじ、リベット、ボルトナットを用いる方法はいずれも、艇に穴を開けることになるので、インフレータブルのカヤック/SUP、ゴムボート等には適用できない。

インフレータブル、ゴムボートに部品を取り付けるなら、RailBlazaのリブポートを使うと良い。これは台紙を剥すと粘着面が表れるもので、ペタっと貼り付けて固定できる。

または、マジックテープ生地を使う方法もある。

これらの方法は先述した3つの方法とは違い、特別な道具も、艇を加工する必要もないため、ユーザーが手軽に挑戦できる低リスク艤装としてオススメできる。


その他の固定方法

ここまで紹介した方法以外にも、磁石を使う、ロープ・ヒモを使う、タイダウンベルトを使う・・・等、工夫次第で幅広い方法がある。

取り付ける部品、取り付ける対象、使える道具、度胸(最重要)・・・諸条件を勘案して、ベストな方法を見つけよう。

Horizon Walkerでは、自社ブランド艇に限らず、他社様艇の艤装、改造、修理も受け付けている。ここで紹介した方法はもちろん、他の方法も豊富に提案できるので、気軽に相談してほしい。


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